大衆レストランで昼食

 長いシャンゼリゼ通りを戻りながら、少し遅くなったが昼食をとることになった。Eさんが何時も利用するという店だ。

 セルフサービス式のこの店には、信じられないほど多くの種類の料理が並べられていた。それぞれ料理毎にコーナーが分かれていて、サラダ・スープ・野菜の煮物・魚・肉・パン・ピラフ・チーズやバターやジャム・飲み物もコーヒー・ジュース・ミルク・アルコールもある。

 これはと思う物を取り皿にのせて、あいていたテーブルに着いて彼女を待った。彼女は大きなビーフを選んでいたが、全料金は19ユーロ(約2500円)、私は16ユーロ(約2000円)、日本での料金に比べるとやはり少し高いと感じたが、ボリュームは十分だった。

 沢山の人たちが食事を楽しんでいるのにも驚かされた。観光客の団体が入ってきたが、服装から見てヨーロッパ系の人達ではない。約200名は座れるほどのこのレストランの広さにも驚かされた。

 食事を終わって通りに出ると、スタンドショップで新聞を売っているのが眼に入った。一番下段に置いてあったのは中国語新聞だった。
 それほど多くの中国人がこの大都会パリに、住んでいるか働いているのだと、改めて教えられた。家に戻ってT氏に聞いたところ、韓国人経営のレストランや食堂も、沢山あるとのことだった。

 また地下鉄に乗り戻ることにした。乗換駅では、Eさんが通路の別れ場所まで一緒に来てくれた。
 地下道の壁には広告の絵だと想うのだが、2m四方もある大きな素敵な絵がずらりと描かれていて、絵画好きの私を喜ばせてくれた。

 最後の地下鉄ホームへ行く通路の中央で、果物を売っている若い中国人の男性が客引きをしていた。バナナ4本、小振りのりんご2個、大き目のプラム5個、ぶどうの小房をひとつ買ったら、日本語で「こんにちは、日本の人ですか」と話しかけてきた。

 彼は数年前に横浜に数ヶ月行ったことがあると言う。少しばかりの日本語を話せたし、日本はとても良いところだ、また行きたいとも言った。お金を払う時になって、「5ユーロ(約700円)でよい」と、私が差し出した小銭入れからコインを取り出した。
 少し勉強してくれたのかも知れない。お礼を言って「元気で、さようなら」と別れた。