第94回世界エスペラント大会開催

 早朝に少し振っていた雨も直ぐに止んだ。
 参加者が世界中からこの日のために集まってきた。10時15分、有名な役員たちの挨拶で世界エスペラント大会は始まった。広場に作られた大テントが開催式典の会場だった。私は中央より後部の座席にひとり座った。

 お決まりの歌「エスペーロ」を皆で歌ったが、20年ほど前に初めて参加した、中国北京市で開催された世界大会での感激に比べると、残念ながら実に新鮮味のない式典だったのにはがっかりした。それでも速いテンポの曲には、少し興味をそそられた。
 各国の代表挨拶も長々と続いたが、これは楽しみのひとつだと思う。大会資料では61ヵ国から1766名の名前が参加者として登録されていた。この時点で日本からは約170名の参加者が登録されていた。

 12時10分頃式典は終り、参加者たちは知人を見つけては、親しくお互いに挨拶を交わしていた。私は大学前の通りにある小さな売店へ出掛けて、パンとハムとジュースと果物を買い、広場の中央歩道にあるベンチに座って、青空の下で昼食をした。

 その後本部に戻り、伝言メッセージ、集会案内、演劇と人形劇の案内、EU(ヨーロッパ連合)における統一言語についてのアピール、などなど掲示物を写真を撮りながら読んでいった。

 やがて広場では記念撮影の準備が始まった。集まってくる人・人・人。有名人も無名人も。
 写真を高いところから摂るために出動した大型クレーン車。出来上がって受け取った写真のどこに自分が居るのか、またく判別できないぼど、豆粒位の姿が残っただろう。

 大会本部ビル1階にある、余り広くない菜食者への情報、バハイ教徒の集会案内、食堂には、たちまち行列が出来た。2階の踊り場スペースでは、来年の世界大会開催地キューバの数人が、ギターを弾きながら、独特のリズムで歌っていた。

 何人かの日本人、中でも九州から参加した顔見知りのエスペランチストたちにも出会い、お互いに元気だったかと言葉を交わした。特に二ヵ月間のヨーロッパ旅行の途中である私に、ねぎらいと激励の挨拶をくれた。