35℃を超えた冷水サービス

 今朝想像した通りに、午後からどんどん気温が上がった。ケーブルカーで下へ降りたのは14時半を過ぎていた。

 直ぐ近くにバス停があったが、どのバスに乗れば駅へ行けるのか分からないので、ベンチに腰掛けていた老人に尋ねた。やって来たバスを指差して、これに乗って電車道まで行き電車に乗り換えろ、と教えてくれた。勿論ハンガリー語など、全く分からない私は身振り手振りで「ブタペスト・レールウェイ・ステーション」と何度か訊ねた。

 バス料金はわからない。乗車するとき運転手に小銭入れてのフタを開けて差し出し「ハウマッチ」と言い、運転手が一人分の料金を摘むので十分だった。
 10分も走ると電車が見えたので直ぐにバスを降りた。コンクリートの道路が白く見える程暑い。腰に下げていたお絞りハンカチで汗を拭い、少し散歩しようと考えて、歩道に沿って立っている木陰を辿りながらゆっくり歩いた。
 しばらく行くとビニール製の水パックを通行人に配っていた。早速私も2個貰って、1個はペットボトルに詰め、1個は袋の端を噛み切って飲んだ。直ぐ近くにはテントが張られていて給水器が14台も並べられ、誰でも自由に冷たい水を飲めるサービスが行なわれていた。

 コンテナ車が着くと多量の冷水パックがテーブルの上に積み上げられ、数人の係員が通行人へ手渡した。ローザンヌ(スイス)のR氏から運転を教えて貰ったことのある、ジャイロコンバスの乗り物で数人の男達がやって来た。

 三人掛けられるベンチがあり私が休憩していると、小さな女の子が遊具に乗ってやって来た。
 私の顔も余りの暑さで火照っていたが、帽子を被っていないその子の顔も暑さで赤い。私は座り場所をずらして、その子を手招きしたら、寄ってきて私の横に座った。

 観光旅行者を含めて何人もの通行人が立ち止まって冷水を飲んでいた。その一人に頼んで写真を撮ってもらった。家に帰ってLさんの説明をきくと、気温が35℃を超えると、ブタペスト市から冷水サービスが実施されるのだと知った。
 日本で35℃を超えることは多くはないと思うが、こんなサービスが準備されていたら良いのにと思った。