寝袋で就寝

 部屋の中には4人掛けの小さな食事用テーブルがあり、直ぐ近くに調理できる場所があった。リビング・ルームは12畳程もある大きな部屋で、ソファーでゆっくりと休憩できた。

 急に見慣れない外国人がやって来たのに、2歳の女の子は、いつもと変わって、おとなしくなってしまった様子だった。
 それでも私の方を覗き見するので、私は手招きしたり話しかけたりしたが、母親の服を握り締めたり、父親の所へ走ったりした。手に持っていた人形を、私に貸してくれるようにと、私が手を差し伸べたが、そのまま父親のところへ行った。

 忙しい中でD氏夫人は夕食の支度をしてくれた。パン・チーズ・スパゲティ・野菜サラダ・コーヒー・ジュース等など。これまでの旅行の報告をしながら食事をした。女の子は黙って聞いていたが、保育園で習った歌を、D氏の誘導で歌ってくれた。

 別の部屋は2歳の女の子Eちゃんの遊び場と、D氏の書斎を兼ねていた。その部屋で私は寝ることになったが、当てにしていた空気マットの調子が悪く、使用できないことがわかった。困った様子のD氏を見て、これまでの旅行でソファーにも寝たし、マットでも寝袋でも、何でも構わないからと云ったら、寝袋を貸してくれた。

 今の季節は夏、日本人は日ごろ畳の上に布団を敷いて寝ているし、夏場は薄い布団の上にコザを敷いて寝たりする。ベッドでなくても大して違和感はない。

 ゆっくり寝られるだけで幸せでもある。シャワーを浴び、電気を消して、今日一日が終わった。