女の子からの贈り物

 夕食はラックの中に寝ている赤ちゃんも加えて、5人揃ってテーブルで食べた。たった2晩宿泊させてもらったのだが、2歳のEちゃんは、私の呼び名を覚えていて、D氏にいろいろと尋ねていたようだった。

 食事が始まると「お別れに何か歌を歌ってあげなさい」と父親に言われたようで、保育園で習っているのだろう、日本の歌の「大きなくりの木の下で」に似た曲を、大きな声で元気にうたってくれた。
 彼女の遊戯に合わせて、D氏も踊りのしぐさをした。彼女の前に座っていた私も、彼女の身振りに合わせた。

 3〜4回繰り返して、一緒に歌い遊戯をしたが、彼女の声はどんどん大きくなり、元気そのものだった。他にもう一曲遊戯を入れて歌い、父親にならって私も遊戯した。勿論食事テーブルに着いたままだ。

 彼女がこんなに何度も大きな声で歌い遊戯をすることなど、めったになくて「今日はとても上機嫌だ」とD氏が云った。「娘はきっと貴方を親戚のおじさん位に感じているのかも知れない」とも言った。

 食事の後ソファーで休憩していると、人形をひとつ持ってきて私に貸してくれた。そして母親に何か話して、画用紙にクレヨンで絵を描き始めた。母親の話では、私へのプレゼントだという。今日の日付を母親が書き加えてくれた。

 ローザンヌ(スイス)でも、二人の兄弟に鳥の絵のプレゼントを貰ったし、ここでも2歳の女の子から絵のプレゼントを貰った。これは私の旅行の思い出となり、宝物になった。