G氏と食事、そして散歩

[次の順番に読んでください]
 1.コンテ(フランス)にさようなら
 2.ニース(フランス)からトリノ(イタリア)へ
 3.ホテルを探して
 4.ホテルの4つの鍵
 5.G氏と食事、そして散歩
 
 私がペンションに到着して30分程たった頃に、G氏が来てくれた。彼は私に「ホームで待っていたけれど列車は来ないし、到着時間も駅員がはっきり言わないので、C氏に電話して一旦引き上げた」と話してくれた。「ネグラーバス(かまいませんよ)」と答え、彼の案内で夕食に出かけた。

 近くの大きなセルフサービスのレストランには、まだ客は少なかったが、ノンアルコールのビールで乾杯し、今日までの約2週間の私の旅行を報告した。以前G氏は世界エスペラント協会関係者としてUEAで活動した事のあるベテラーノだった。そう言えばC氏は現在SATの中心メンバーだと聞いていた。

 何故トリノに1泊だけなのかと訊ねられた。当初イタリア南部へ行く計画をしたが、受入者がひとりも見つからなかった。
 ローマ近郊に住んでいる元世界エスペラント協会会長C氏のところには先客があり、仕方が無いので旅先をスイスに変えたら、直ぐ3名の受入者が現れた。残念ながらトリノには1泊だけすることなってしまったと話した。

 世界大会でポーランドへ行くのかと訊かれたので、スイスからボローニャ(イタリア)の近くに戻り、ハンガリーへ行って、ポーランドの南部に入り、どうしても訪ねたい場所アウシュビッツに行った後、世界大会に参加する。
 そのあとでポストコングレーソに参加し、ビドゥゴシチで過ごしたのち、オランダ、ベルギーを廻ってパリへ戻り、飛行機で日本に帰る、約2ヵ月間の一人旅の途中だと言ったら、「そりぁあいい。元気でな」と言ってくれた。

 二人だけだったが、彼のご馳走で夕食をしながら、時の過ぎるのも忘れていろいろ雑談していた。
 レストランを出たのは20時を過ぎで、少し薄暗くなった街の中を広場へ向かって散歩した。トリノ駅前から続いていた大通りは、幅が20m程もあり、大理石造りの直径50cmを超えた円柱が、まるで古代宮殿の廊下のようにどこまでも並んで立っていた。
 殆どの建物は古い。広場に出ると夕涼みの人たちが三々五々坐っていた。大きなモニュメントもあり、自由に水を飲める噴水もあった。トリノは古く大きな街なので、数日間滞在しないと、観光できないと彼が教えてくれた。

 明日(7日)は8時にホテルへ迎えに来るので、荷物を持って門扉の処まで出ているようにと彼は私に指示し、トリノ駅まで見送るからと約束してくれた。

 ホテルに戻って4つの鍵を習った通りに上手く使い、部屋に入って荷物を整理し、シャワーを浴びて、脚のマッサージをしてクリームをぬり込み、目覚まし時計の針を7時にセットした。
 主人にガスなし水が欲しいと言ったら、自分の冷蔵庫から冷たいボトルを出したので、冷やしていない水が欲しいと言うと、倉庫から持ってきてくれた。お金を払おうとしたら、「おごりだ」と言って受け取らなかった。主人と知り合いのエスペランチストのおかげだ。ありがたく頂戴した。

小窓を少し開けて冷たい空気が入るようにして、ベッドの上に横になった。