インターネット・テレフォン

 とにかく無事イルン(スペイン)までの切符は手に入れた。後は発車まで時間待ちだ。ブログに書き込むため、何処かにネットカフェが無いか訊ねることにした。

 25日にD氏が迎えてくれたとき、幾つかの店が駅裏に並んでいるのを覚えていた。地元の人でないと場所が分からないと思い、小さな店にいた女性に声を掛けた。「ネットカフェ」は通じなかったが、「パソコン」「コンピュータ」と単語を並べてみると、道路の曲がり角まで出てきて、30mほど先の右側を指差しながら、「テレホン」と教えてくれた。きっと旅行カバンを持った東洋人が探しているのは、長距離電話だと、彼女は思ってくれたのだろう。
 近くまで行って「インターネット・テレホン」と書かれた横文字を、道路のこちら側から確認し、昼食を取るため近くの日除けテントのある、テラス式レストランの丸テーブルに腰を下ろした。

 19時まで十分な時間がある。近くのテーブルで食事している人の皿を覗き、それを指差しながら同じものを注文した。名前など知らなくても平気だ。この方法は15年前にミュンヘン(ドイツ)を一人で旅行したときに経験済みだった。
 太陽の日差しは強くなっていたし、食事をしながら、涼しいテントの下で休憩することにした。2時間程して「インターネット・テレホン」へ出かけた。

 先ず利用料金を訊ねる。30分で1ユーロと書いてあった。日本語が画面に現れるか問題なので取り敢えず1ユーロを払った。空いているパソコンのどれを使っても良い様なので、大きな旅行カバンを置ける奥の椅子に座った。電源は既に入っていて何時も立ち上げ状態だ。自分のブログのアドレスをメモしていたので、ゆっくりと入力した。

 幸い画面に hatena の私のブログが現れ、日本語も表示されていた。24日から何も書き入れていない。旅行のひとつひとつを思い出しながら書き込んでゆく。しかし結構記憶は曖昧だ。
 キーボードのキーの位置も少し日本で使用しているのと違っている。そのため再入力しなければならないことが度々起こった。次の訪問地マドリードの受入者R氏が読んでくれる事を願いながら。ボルドーで切符が買えず日程変更で、今晩(27日夜)はイルンに泊る、とメッセージを入れた。直接彼にメールを送ろうとしたが、操作がうまく行かない。あっという間に時間が過ぎた。面倒なのでカウンターへ4ユーロ渡して入力を続けた。

 16時過ぎに駅へ戻った。ガスなしのミネラル・ウオーターを自動販売機で買い、リュックの外ポケット(ネット製)に入れていた、アクエリアスの500mlプラスチックボトルに詰め替えた。

 掲示板に貼られた列車の発着時刻表を確認して、駅構内の店をぶらぶら眺めて楽しみながら時間を過ごし、18時には待合室へ入って待つことにした。