アパートを出てドゴール空港へ

 私の飛行機は夜9時にドゴール空港を飛び立つ予定だ。出発まで時間がたっぷりあるので、どこか見物するといい、とT氏は助言してくれだか、空港で休憩するほうが楽だと、アパートから直接空港を目指して出発することにした。

 朝から仕事に出かけるT氏の婚約者に、お礼とお別れの言葉を述べ、元気で日本へ来るように挨拶した。T氏も10時頃には仕事に出かける。

 私がドゴール空港へ行くためのバス路線を、昨夜パソコンで調べてくれた。アパートの直ぐ近くのバス停からオペラ座を通るバスがある。オペラ座の近くからドゴール空港行きのシャトルバスが出ていた。

 私と一緒にアパートを出て3分ほど歩き、バスが来るのを待つて、運転手に行き先を確認し、私がオペラ座で降りるのを頼んでくれた。私は運転手席の近くの椅子に腰を下ろした。彼には心からお礼を述べ、日本での素晴らしい旅を期待して、別れを告げた。

 バスは街の中を通り、オペラ座まで40分程で到着した。運転手に声を掛けてお礼の挨拶をしバスを降りた。
 あの特徴の有る丸屋根のオペラ座の建物が直ぐ近くに見えた。だがシャトルバスの乗り場はどこか分からない。歩いてきた新聞片手の男性をつかまえて、「エアポート・バス・ストップ」と単語を並べると、なにやらフランス語でしゃべりながら、直ぐ前にあるビルの向こう側へ行け、というように手をまわした。

 近くに開業間もないユニクロ店があったのには驚いた。ユニクロの広告が描かれているバスも走っていたのを思い出した。

 旅行カバンを押しながら50mほど回ると、バスが数台停まっていた。近づいてバスの運転手に声を掛けると、チケットを見せてくれと言っているみたいなので、ポシェットから取り出して見せると、バスの中へ入れという仕草をした。

 やれやれこれで安心だ。15分ほど待ってから、高速バスは発車した。1時間以上走ると、だんだん街から離れ、ついに空港へ到着した。2ヵ月前に日本から飛んできた時には、全く気付かなかったが、ドゴール空港の大きさに改めて驚かされた。