J君と雑談

 夕食の買出しは、近くの売店で昨日も済ませていた。パンとジャム、ジュースと牛乳、ハムや、果物などを店のカゴに入れてレジで並んでいたら、なんと昨日ホームで私を迎えてくれたJ君が声を掛けてきた。彼の家族はこの近くに住んでいて、彼は母親と一緒にこの売店で買物をしていたのだ。良くこの売店を利用するのだと教えてくれた。

 昨日(21日)世話になった彼に十分なお礼も言えなかったし、明日(23日)は一日中アウシュビッツへ遠足なので、K氏にもJ君にも会う暇が無い。お土産を彼にあげたいからと言って、売店を出て私と一緒に宿泊所まで来てもらった。

 彼の趣味が音楽だと聞いていたのでウィーンで買った、一曲が30分と長い演奏が収録されているクラシック音楽のCDをあげた。ジャケットの文字は何語なのか私には分からない。彼はドイツ語で書かれていると教えてくれ、興味ありそうなCDだと言った。学校でドイツ語も習っているのだという。

 演奏する楽器は何かと彼に訊ねたら、キーボードとギターで、曲作りもするのだと言った。短い年数だが私はクラリネットとアルトサックスを会社のブラスバンドで演奏していたし、少しだけならアコーディオンとエレクトーンも遊びでやったことがあると話した。

 彼の好きなジャンルはポップスやロックだが、クラシックも好きで、私は少し古い時代のクールジャズやビパップだと答えたら、彼も好きだと言った。二人の話は弾んで楽しいひとときを過ごせた。

 日本から持ってきたエスペラントのバッヂをあげたら、彼はバッヂの収集化家で、これも喜んでくれた。ローザンヌ(スイス)のR氏に貰った、ダイオードランプが点くキーホルダーも記念にあげた。私と彼の会話はエスペラント語だけだった。

 24日の朝は、一人でクラクフ駅まで行くので、見送りは不要だと、父親のK氏に伝えてくれるように頼み、いつかどこかのエスペラント大会で再会しよう。また日本に来るなら10年以内に来るといい、まだ私が元気で観光案内できるだろうから、と言って別れた。