一人でエス会事務所を出る

 今朝も快晴だ。次の街へ行く汽車は午後に出る。衣服をひとつひとつ綺麗にたたみ直して、ゆっくりと丁寧に旅行カバンの端から詰め直した。

 エスペラント会事務所には講習会用の部屋があり、十分使い込まれたテーブル付パイプ椅子が10個ほど無造作に置かれていた。机と椅子を雑巾で吹き上げて、ホワイトボードの前に並べた。買った木製のハンガーも数個壁に掛け、残りは全部プラスチックボックスに入れた。ソファーベッドのカバーも、薄手のタオルケットも、石鹸も、全てボックスに入れ、使用についてのアドバイスを紙に書いて、次の訪問者のためだと、残した。

 10時過ぎに事務所の戸締りを2度確認して、お礼のメッセージを紙に書き、ソファーの前のテーブルに置き部屋を出た。A氏に教えられたとおり、部屋のカギを封筒に入れ、指定された場所に返した。

 15年前にミュンヘン(ドイツ)に泊ったとき、受入者は朝から仕事に出かけていた。その日私は1人朝から汽車に乗って、少し離れた街の建物の壁に描かれたフレスコ画を観るため遠出をしていた。戻ったのは18時過ぎだったが、彼はまだ勤務中。ミュンヘンから夜行列車に乗って北へ向かった。こんな状況で今日と同じように、カギを封筒に入れて指定された場所に返した経験がある。

 大通りでタクシーを捕まえようとしたが、なかなか来ない。会事務所からバレンシア駅まではタクシーで10分程で着くほど近い。15分ほど経って上手く乗り込んだら、直ぐ近くの交差点ではバレンシア駅の方角(左折)できず、そのまま真っ直ぐに進んで、2つ目の大きな交差点で右折し、直ぐにまた右折して、ちょうど大通りのひとつ裏側を戻ってきた。やがて右折し、やっとバレンシア駅へ直進する大通りに入った。

 駅に着くと昼食にパンとジュースを買った。もうすっかりこの食事に慣れてしまった。広い待合室に入ってベンチに腰を下ろし、ゆっくり食事をした。

 右脚の軽い痙攣以外に、特に体調の悪いところはない。脚も歩いている時は何ともないが、ベツドなどに横になり背伸びをしたりすると少し痛む。ベンチの上で脚を伸ばしマッサージをし、筋肉痛用のクリームを薄く塗りこんだ。