鼓笛隊と祭り

ここを読む前に、下記の順に読んでください。
 1.自由と平和の彫刻家
 2.座席予約切符の購入
 3.インターネット・テレホン
 4.列車の中のマダム
 5.出来立てのペンション
 
 夕食を取るためホテルを出て橋まで戻り、多分この町一番の目抜き通りに出た。突然音楽隊の響きが近づいてきた。立ち止まり待っていると、小学生くらいの子どもたち30〜40名が、タテ笛と小太鼓(スネア)だけで行進してきた。警察官も数名バイクで警護しているし、先頭には一台パトカーも走っていた。どうも今日はお祭りの日みたいだ。

 しばらくすると今度は若い男女の一隊が行進して来た。やはり縦笛(リコーダー)を皆が吹いている。シンバルと小太鼓もあった。行進が進む方向に私も歩道を進んだ。

 大きな広場に出ると、道路の片側には、幾つものテントが長々と続いていて、沢山の人たちがビールを飲みながらが、或いは食事をしながら、にぎやかに談笑していた。やはり祭りの日だ。ホテルへ戻るころに大人の音楽隊に出合った。今度は縦笛のほかにトロンボーンもある。大太鼓やシンバルもあった。

 列車の中のマダムの話と違って、イルンの町並みの店々は綺麗で、洋服、電気製品、手芸品などが売られていた。どうも町自体も近年新しく衣替えしたかのようだ。食事のためのレストランなどは営業を終わっていた。しかしところどころに飲み物を売る店はまだ開いていた。
 そこで明日の朝食分も考えて、10ユーロ程のパンと4ユーロ程のオレンジジュースの紙ボトルを買った。道路脇にところどころ置かれているベンチに坐って、町や歩く人を眺めながら遅い夕食を取り、ホテルに戻ったのは24時を過ぎていた。

 私の記憶に間違いがないならば、ずっと以前に日本のテレビで、この「鼓笛隊の祭りの町」のレポートを、確かに観た記憶がある。そして「鼓笛隊のパレード」は、あたかも「ハメルンの音楽隊(?)」のように思えた。