自由と平和の彫刻家訪問

 朝の太陽はそれほど輝いていなかった。D氏は昨夜の呼び出し仕事で早朝から出かけていた。
 私は汽車の切符を買い直さなければならないので、そのことが気になっていて、ピクニックには参加しないとD夫人に話したが、是非一緒に行こうと熱心に勧められ、それに従った。

 もともと日本で調べた日程では、ボルドー(フランス)からマドリード(スペイン)へ行くのに長時間かかり到着時間が遅くなる(21:20)。しかも今日(27日)は土曜日で、『地球の歩き方』情報では、外国人の一人旅行はマドリード駅周辺では危険で、特に土・日曜日の夜は注意が必要だ、と書かれていた。
 さらに、マドリードの受入者R氏の住所は、マドリード駅から約1時間ほど離れていて、ローカル線に乗り換えなければならない。こんな理由で最初からピクニックを断っていたのだが、D氏の誘いも熱心だった。昨日の脚の状態から考えて、夜遅く初めての土地を移動するのは危険だと考えた。

 30分間ほどD夫人と押し問答のようなことになってしまったが、ピクニックにはエスペラント会会員も集まるし、日本から訪問者があることも機関紙で知らせている、と云われて私も観念した。


 9時半頃にD氏も帰宅し、彼女の運転で彫刻家のアトリエへ向かった。この彫刻家はエスペランチストではない。彼のテーマは自由と平和だ。興味ある彫刻物が野草の茂った敷地ではない、彼が名付けた基地内に点在していた。

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 エス会メンバーが5〜6名が自動車でやって来た。最高齢の女性は82歳、この地にも残念ながら若い人はいなかった。彫刻家の説明をD氏がエス語で私に通訳してくれた。折角日本から来たのだから、記念に感想を書けと云われてエス語で書いたら、その訳を日本語でも書けと云われて5行ほど記述した。