贈呈用の大会記念資料準備

 いつも私は、エスペラント大会に参加した際に、知人や友人やお世話になった人たちへ、大会参加記念として、会場で手に入れた資料や絵葉書を、大会会場から送ることにしていた。今回の贈呈品は、個人で配布した写真資料「被爆者」、地方新聞の世界エスペラント大会報道記事、毎日発行される世界大会新聞、絵葉書、ミニバッヂと記念シールだった。

 写真資料は予め30人分、協力者のJ氏に頼んで余分に印刷してもらっていた。絵葉書とバッヂと記念シールは図書販売所で購入した。
 大会新聞は午前中の早い時間に情報案内係りのテーブルへ毎日でかけて30人分を貰った。

 さて残ったのは地方新聞記事のコピーだ。大会会場はビアリストック大学なので、どこかにセルフサービスのコピー機があるだろうと探したが見当たらない。情報案内係に訊くと、二つほど先の建物で分科会が開催されているので、その入口から入るとコピー機があると教えてくれた。早速行って見ると大型のコピー機が直ぐ見つかった。しかし、良く考えてみると機械の操作案内はポーランド語、電源の入れ方さえ分からない。おまけに十分な小銭は持っていない。

 何としてもコピーしなければと、誰もいない広くて長く薄暗い廊下を、人影を探しながら歩いた。すると電気が点いている部屋があり中から数人の声が聴こえた。ドアをノックして「パルドーノン(失礼します)」と中を覗くと、振り向いた女性が私の方へやって来た。
 コピーをしたいのだと身振り手振りで話しかけると、彼女は廊下へ出てきて、私に操作を教えようとした。ところがセットされていた用紙は全てA4ばかり、私の原紙はA3なのだ。私は紙幣を見せて、「コインがない」というと「何枚コピーするのか」と彼女が訊いた。30枚必要だと言ったら、手招きして事務室へ私を案内し、その部屋のコピー機を使って30枚作ってくれた。幾らかのお金を渡そうとしたが、いらないからと言って、私に押し戻した。何度もお礼を言って部屋を出た。