ローザンヌを観光

 朝には、すっかり雨が止んでいて青空も見えるが、太陽の日差しは余り強くなかった。スイスではフランス語が話されることを私は知らなかった。野菜サラダ、フランス風の固めのパンとジャムやマーマレード、炒めたソーセージ、ジュースとコーヒーの朝食を終えると、D氏とふたりで観光に出かけた。

 バスに乗って街の中心部へ向かうのだが、彼は切符自動販売機で、バス停に貼られていた路線地図をいつまでも見ている。どの路線を選んでいるのだが、目的地までの距離で色分けされた部分があり料金が違うという。幾つかの路線を比較しながら、この路線を使うと一番易い番号になる、と決まった。

 ローザンヌの街は、すり鉢状になっているらしく、周囲は小高い丘を切り開いた形をしていた。脚が痛くならないかと多少心配しながら、少しずつ坂を上り、古い建物や教会や、店がずらり並んだ路地を歩いた。小高い城跡に入り城壁までたどり着くと、街も湖も一望できる場所に出た。そこから新しいビルや古い建物が、一部分区分けされたように立てられているのが分かった。

 小さな広場まで来ると、通行人に何やら話しかけながら、チラシを配っている女性に出合った。D氏は気軽に挨拶して、私を彼女に紹介した。なんと彼女はエスペランチストで、このような人通りで、エスペラント語の宣伝を常時積極的にしている活動家だった。数分だったが、2ヵ月間の旅の途中で、ローザンヌ地方に4泊することを彼女にも報告した。

 ひと通り街を巡り、レマン湖に浮かぶ遊覧船に乗らないかと誘われたので、戻ってくるのに時間はどの位掛かるのかと聞いたら3時間程だと言うので止めにした。
 実はモダンな電車で乗船場に来て見ると、かなり寒いし風も少し出ていた。多分レマン湖の沖では、もっと強いはずだ。3時間も風に吹かれていて体調が崩れたら大変だ。乗船場からは、遠くにアルプス連山が見えるが、少し霧も出でいて山々は霞んでいた。その後街へ戻り、数ヶ所観光してアパートへ帰った。