古城の博物館

 古いお城がそのまま博物館になっていた。赤レンガを積み上げた城壁と、城自体は、絵本に出てくる、まさに西洋の城だった。

 鎖で巻き上げられる入口のつり橋、石畳は角が綺麗に擦り取られて丸くなった石が並んでいた。城壁に絡みついた木の根は、まるで大きなツタのようにねじれて絡み合っていた。
 城の中は広くて、中庭に皆集まると、その大きさと古さを感じることが存分にできた。

 観光客は私たちだけではない。夏休みの家族連れや、若い団体が次々に入ってくる。細い石の階段を下がると薄暗い部屋が並んでいた。きっと会議をしたと想われる大広間には、少しばかりのステンドグラスが填められていた。廊下には鉄製の鋳造物が幾つもぶら下がっていた。