パスポルタ・セルボ


 「パスポルタ・セルボ」とは、エスペランチストエス語を使用する人たち)が無料で宿泊させることを了承して登録する所謂ホームステイのシステム(民泊組織)である。
 2週間前までに連絡、3日間まで受け入れ可、連絡はインターネットで、二人まで宿泊可、喫煙者は宿泊拒否、女性のみ受け入れ可、ネコやイヌを飼っている等など、夫々が条件をつけて登録する。宿泊希望者は、その条件を十分承知の上で申し込む。

 私は既に67歳、平均寿命まであと10年。やがて海外旅行も身勝手に行けないだろう。3月に登録し、帰国後は外国からの訪問者を受け入れたいと考えた。
 外国での受け入れは、どのようにしているのか色々体験したいと考えて、多くの国々を訪問することにした。全てパスポルタ・セルボの登録者へ宿泊依頼の情報を送った。
 しかし、ひとりも返事が来ないときは、その街の代表(デレギート)へ支援依頼のメールを送った。

 当初の計画では、ポルトガルへ行き、地中海沿いにスペイン経由でイタリアへ向かい、船にも乗り地中海のたびを体験することだった。

 イタリアの西側を南下し、シシリア島の入口にある都市パレルモへ行き、帰りは東側を北上して、ハンガリーのブタペストへ向かう予定だった。
 しかしポルトガルから海岸沿いにスペインへ行くには都合のよい交通手段が見つからず、予定より数日多くかかる。7月のイタリアは夏休み期間に入り受入者が見つからない。おまけにホテルも高い料金設定になっている。諦めて北の国スイスの登録者にメールを送ったら、直ぐに受入者が3人も現れた。

 スペインのバレンシアでも受入者が現れず、日本からネットでホテルの予約を、50年前の高校生時代に習った知識だけの英文でメールを発信した。英語をほとんど理解しない私にとって外国のホテルにインタ−ネットで予約するのは初めての体験だが、うまく相手に届いているのか不安だった。
 バレンシアエスペラント会へ、私の予約メールが届いているか確認してもらうためにメールを送った。すると直ぐに返事がきて、エスペラント会事務所に泊らないかとの誘いだ。その返事は何と中国の広東省からである。
 明日(6月20日)バレンシアに帰るので、受け入れは大丈夫だとの返事だ。急いで簡単な英文でホテル予約を取り消したが、通じたかどうか、また心配だった。数日後にイタリア語と英語のキャンセル受付の返事がホテルから届きひと安心。

 出発直前(6月21日)までに、受け入れ者が現れなかったのは、最終都市のパリ(8月16日〜19日)だけだった。ポーランドの都市ビヤリストックの世界エスペラント大会に1週間滞在する。そこでフランス人を探すことにした。見つからないときはホテル利用を覚悟した。